初心者が作った真空管の説明

3極管の働き



2極管の説明にもありましたが、カソードとヒータのものとフィラメントのものが出てきました。カソードとヒータのものは、傍熱型、フィラメントのものは直熱型と呼びます。このフィラメントのものは、2極管と3極管に見られ、それ以上の多極管には私の知る限りヒータのタイプしか見られません。しかし、実際には4、5極管も存在していたようです。
フィラメントは、タングステンで作られており、普通の電球と同じですが、明るくするのではなく、熱するのが目的です。
ヒーターと呼ばれるものは絶縁されたニクロム線でできています。やはり目的は、熱して熱電子を作る目的です。

 
3極管は、2極管にグリッドという電極を入れたものです。このグリッドは殆どが網状か、螺旋状になっています。ヒター、カソード又はフィラメント、グリッドそしてプレートと極数が3つになります。
ここで、余談・・・最近知ったことですが、現在学校では、乾電池の電気記号が同じ太さの短長の線で表されています。私の時代はマイナスはデブ短線で、プラスは細長線でした。抵抗機も長方形です。いつ頃から変わったのでしょう。それに円周率も3.14でなく、ただの3です。



   3極管は、グリッドとという電極が追加されています。ヒーター電圧、プレート電圧を一定にして、グリッドの電圧を変化させたらどうなるでしょうか。ただし、グリッドにはプレートとは違いマイナス電圧を加えます。  上記の図のように、それぞれグリッドに加える電圧を変えてみると、それに伴いプレート電流が変化します。ということは、2極管で行ったようにプレート電圧を変化させるより、かなり効率が良いことが分かります。このように、3極管はグリッドの電圧で、自由にプレート電圧を調整できるという特徴を持っています。
このグリッド電圧をグラフのa点から更に少しずつ上げていくと、一定の所までは、直線的に下がってきます。ところが、ある特定の所、このグラフではb点となりますが、今度は綺麗な湾曲を描くようになり、更に上げていくと0になってしまいます。この0になったc点のことをカットオフといいます。つまり、プレート電流が0になることです。また、グラフの直線の部分では、グリッド電圧とプレート電流が正比例しています。増幅に使用するのには通常、このaからbの範囲で使用するように設計します。
では、3極管で何をするかということですが・・・3極管はグリッドの電圧により、自由にプレート電圧を調整できるという特徴を持つことから、このグリッドから何か音源となるものを入力してみます。たとえばCDプレーヤーとか・・・
 
 このように、電流などを大きく変化させることを増幅作用といいます。検波と整流しかできなかった2極管に対し、3極管が作られてからは増幅もできるようになり、ラジオなどが進歩したと考えられます。勿論、放送局の方も大変だったことでしょう。
左記回路図は、原理的回路ですが、定数どおり部品等を取り付ければ、音が出る訳です。
 実際は真空管を数本使い何回か増幅して音を出すように設計されています。



 真空管を正常に働かせる為には、フィラメントにかけるA電源、プレートにかけるB電源、それとグリッドにマイナスの一定した電源を供給しなければなりません。これをグリッド・バイアスといいます。良くバイアスを深くとか、浅くして使用する。ということを聞きます。
また、同じ球でもグリッドバイアスにより性能(増幅率など)が大きく変わります。これは、使用する真空管の動作点を移動させることができるからです。直線部分で使用すればA級増幅、カーブ内ではB級増幅、カットオフで使用すればC級増幅といわれます。
 
 電流などを大きく変化させることを増幅作用という訳ですが、これが私自身も電流変化が何故に増幅??と悩んだ訳です。でもなんとなく分かったような分からないような・・
左図のような特性の球、例えば−2Vのバイアス電圧が必要な球に、あと−5Vの電圧を加えたとすると、プレート電流は比例していますから、2mA流れていたものが、バイアス電圧が−7Vになったことで、プレート電流が7mAとなります。これが増幅です。???やっぱりピンときません。

では、プレートに入れてある抵抗、負荷抵抗といいますが、これを10KΩとします。プレート電流が2mAとすると、この抵抗の両端に掛かる電圧は?、オームの法則で求められます。電圧を(E)とします。
     ○プレート電流2mAのとき
        E=10000Ω×0.002A=20(V)となります。
     ○プレート電流7mAのとき
        E=10000Ω×0.007A=70(V)となります。
成る程・・・電圧が増えています。増幅率は、7Vが70Vになったということだから、10倍増えたということになる訳です。下記図をご参考下さい。
 このように、増幅回路には、負荷抵抗を大きくして高い電圧を取り出すような電圧増幅回路と呼ばれるもの、そして低い負荷抵抗で電流を取り出す回路があります。これは、電力増幅回路といいます。



4極管の働き



 3極管の次には4極管が現れました。これは、新たにグリッドをもうひとつ入れたものです。何処に入れたかというと3極管を例にとると、今まであったグリッドとプレートの間に入れた格好になります。この時前からあるグリッドと後から設けたグリッドを区別する為にそれぞれ名前が付けられました。元からあるグリッドを「制御格子(コントロールグリッド)」後から入れたものを「遮蔽格子(スクリーングリッド)」といいます。
 この後からのグリッドはどうして入れたのかというと、3極管は低周波増幅には適していたようです。ところが、このグリッドとプレートの間でコンデンサーのような役割をしてしまい発振などが懸念されていました。うまく作動しなかったのでしょう。そこで、この発振を止める為にグリッドを追加し発振を防止しようと入れたものと思います。
しかし、放射電子にとっては、邪魔なグリッドが入ったので電子がプレートまで届きにくなった訳です。そこで、このグリッドにも同じようにB電圧を加えることにより、増幅率も上がるという訳です。

 
ただ、このグリッドにB電圧を加えただけだと、コンデンサーの役割を防止するどころか、プレートが2つ入った恰好になってしまうので、アースをしなくてはなりません。B電圧を加え、更に発信などを防止する為にアースも必要です。そこで、コンデンサーを用いてアースする訳です。ただ、このタイプの4極管はスクリーングリッド4極管と呼ばれ、低周波増幅に適しているようです。このような書き方をするともうひとつあるのではないかと思われる方もいると思います。実はそうなのです。
 もうひとつのタイプはスペースチャージ4極管(空間電荷格子4極管)というもので、3極管でいえば、今まであるグリッドのフィラメント寄り、すなわちスクリーングリッド4極管とは逆です。
3極管のフィラメント周りには、空間電荷が発生しやすく、次から次へと出てくる電子を妨害します。この空間電荷を打ち消す為に入れたものです。このタイプは電子を効率良く引き出すので、B電圧が低くて済むというメリットがあります。 


   4極管は、B電圧が低くて作動することから、ポータブルラジオによく使われたようですが、5極管が開発されてからは、あまり使われなくなりました。というより、ポータブルはトランジスターになっていったという方が正解かもしれません。
しかし、4極管も1部を除き、5極管の方が性能、使いやすさから、必然的に消えていったのでしょう。ラジオ用真空管、TV用もトランジスターの出現により、4極管のように消え去る運命なのでしょう。私も含め、極一部のマニアの方が趣味としているだけだと思います。ただ、一部のオーディオ用の真空管は、未だに外国で製造されています。但しとても高価です。



5極管の働き


5極管の内部、各極へ接続の様子


 

 4極管の次には5極管が現れました。4極管は、スクリーングリッドを入れ、グリッド(G)とプレート(P)の間に電気容量を打ち消していました。しかし、スクリーングリッド(SG)には高電圧をかけてある為、カソードからの電子が激しく飛び出し、SGをくぐり抜け勢いよくPにぶつかり、この勢いで、Pの金属板から別の電子がはじき出される現象が起こりました。これを二次電子と呼びます。
 この二次電子がくせ者で、後から来る電子がPに引きよせられるのを邪魔してしまうことが判りました。この現象により、真空管の動作が不安定になってしまう訳です。

そこで、この二次電子を吸収する別のものが必要になり、Pの側に新たにサプレッサー・グリッドと呼ばれるものを追加し、安定に動作するようになりました。5極管の誕生です。
 これらの改善により、5極管は非常に安定した働きをし、増幅率も一挙に300倍に達するものまで現れました。



多極管の働き



 

 更に、5極管より極数の多い真空管が現れました。5極管より極数の多いものを多極管と呼びます。
 代表的なものは、5球スパーに使われる6WC5というコンバート用真空管があります。これは、実際7極あります。この球にはコントロールグリッドが2つ入っています。
 各々のコントロールグリッドは、互いに邪魔されないように配置されていて、それぞれに信号を入れることが出来ます。そして、出口はひとつです。ということは、混合された信号が取り出せるという訳です。効率の良い便利な球が生まれたものです。



変わった3極管 マジック・アイ



 3極管の中で、少し変わったものがあります。それは、マジック・アイと呼ばれる3極管で、何に使われるかというと、主にはスーパーの同調点を調べる目的で使われます。

 
 このマジック・アイは構造が特殊で、真空管の頭にどんぶりのような形をしたものが付いています。この部分に、蛍光物質が塗られており、ここに電子がぶっかって光る。というものです。この光る部分のことをターゲット陽極といいます。更にプレートに接続されている電子制御電極により、カソードからの電子が方向を変えられ、光るところが多くなったり少なくなったりするという仕組みです。変化させる電圧は、グリッドからの入力に伴いプレート電圧が変化する。というのを3極管のところで説明したと思います。

 
 このマジック・アイを同調回路に組み込んで電波の強さや、同調したかを目で見ることが出来るわけです。現代はLED(発光ダイオード)が主流です。管球ラジオにLEDも面白いかも?
 中央にはカソードの灯りが見えないように、キャップが付いています。 中には、飾りを付けて、わざと灯りを見えるようにしたものもあります。
 また、このマジック・アイを2つ組み込んだ双マジック・アイもあります。


写真は、6GE12AというGT管の双マジック・アイです。
 この球は2組分み込まれていますから、パラ接続でも良いし、またステレオアンプのレベル計としても面白いかもしれません。GT管は、ST管のものに比べ、全長が短くなっています。

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