【PHILCO その1】 【PHILCO その2】


◇PHILCO◇


PHILCO MODEL 40-130T

 真空管なので新しいとはいえませんが、比較的新しい雰囲気のするラジオが手に入りました。最初目にしたときは、今風のトランジスターを使った「古典型ラジオ」ではないかと思っていたので、裏を見てびっくりです。
 GT管かな?とまじまじ見れば珍しいロクタル管の6球スーパーです。お寄せいただいた情報によれば、外国製の1940年モデルというので、またまたびっくりです。
 新しいラジオと思ったのですが、ぜんぜん新しくありません。もの凄い骨董品でした。


一見 今風古典トランジスターラジオかな?と・・・

汚れてましたが、痛みも少なく極上のキャビです。


◇入手時裏側◇

細かな白いホコリが蓄積してます。


 一見GT管に見えますが、ロクタル管が6本とIFTが並んでいます。整流管が飛び出ていると思えばソケットが交換されていました。ということは、手を加えられたラジオということです。
 キャビネットは、雑巾で磨けばもの凄く綺麗になりました。少々小キズがある程度の見た目には極上品です。
 また、米松を使った丈夫なキャビネットで、薄い合板にも関わらず結構な重さです。更に、内側までコーティングという凄い作りです。
 防虫処理も兼ねているのかもしれませんが、これだけしてあれば簡単に虫に食い破られることもないと思います。


◇箱から取り出したところ◇

コーン紙から灯りが洩れています。

こうしないと掃除が出来ません


 外国製のラジオというとどうしても気になるのが電源です。というのも日本は100Vですが、外国だと電圧が違うからです。
 情報によると、このラジオは115V仕様だそうでこのまま使ってもウォームアップに少々時間はかかるものの支障はないそうです。ステップアップトランスを使えば問題ありませんが、そんな面倒なことも嫌ですし、球の為にヒーター電圧はピタリと合わせたいと思います。許容範囲以内で・・・
 また、スピーカーはご覧のとおりのボロボロ・・・フィールドコイルのダイナミックスピーカーというものです。これも交換されていました。


◇交換されていたMotorolaのスピーカー◇

ボロボロです。コーン紙もパリパリ・・・


 調べてみたらフィールドコイル1700Ω仕様です。付いていたスピーカーは84Ωのフィールドを積んだモトローラ社でゴールデンボイス、コーン紙は風化でパリパリして独特の粘りがありません。コーン紙は貼り替えと思いましたが、フィールドコイルも84Ωなんて非常に怪しいものです。
 もしかしたら焦がしたのかもしれません。でなけりゃ特殊です。外国製ですし・・・。諦めて普通のスピーカーに交換することにしました。ただし、B電源が高くなるのでダウンさせる必要があります。
 一応、入手時に受信はしました。しかし、ゴールデンボイスというスピーカーのわりには、ぜんぜん輝く音ではありませんでした。


◇シャシ裏(整備前)◇

手を入れてあるようですが、凄い配線です。別の意味で・・・


 大夫使い込んだようで真空管も交換されています。PHILCOの名が入った球は2本だけで、7B7のところに7C7が挿してありました。
 試しに通電したところIF段の7C7のヒーターが灯りません。この球をぐりぐりしたら灯り出してなんとか受信するようになりました。
 しかし、超ローカル局に合わせてみると、どうも歪みが多く聞きづらいものです。AVCが上手く作動していないような感じもあります。
 外国製のラジオというと気になるのが、コンセントからの電圧です。国内は100Vに統一されていますが、外国では違います。
 教えていただいた情報によると115V仕様だとか・・・。となるとトランスの出力は1割強ダウンするわけで・・・。
 案の定ヒーター電圧を測ると6Vを切っています。整流管以外はさほど問題ありませんが、気になる6V割れです。でも、短時間聞く程度なら問題ないそうですが、ぴたり合っているにこしたことはありません。
 これは、分解して巻き直しましたが、0.2Vほど高くなってしまいました。まぁ、いいか。ダウンは簡単ですから・・・


◇ということでトランスの巻き直し◇

ヒーターはパラ巻きになっています。意外と面倒です。


 外国製というと、もうひとつ嫌らしいものがあります。それはビスです。ネジです。無くさないように注意が必要です。
 それはそうと、+B電圧ですが、フィルター入力側は300V近くで各プレートは約180V位です。オリジナルはフィールドコイルでダウンさせていたようですが、こんなスピーカーはありません。
 これは、チョークインプットでダウンを狙いましたが、シャシに余裕がなく断念、抵抗でダウンさせることにして、普通のパーマネントスピーカーを使うことに決めました。なんとかなるでしょ!


◇とりあえず分解◇

当然ですが、錆びています。


 あまりにもバッチいので分解してシャシは再塗装です。ソケット等はリベット式なので、慎重に取り外します。中には、鋼製のリベットが使われているところがあってやっと外しました。
 これが終われば後は組み立てるだけですが、ダイアル文字板は汚れていたので拭いたところ銀紙みたいなのに印刷してあるだけで、文字消え発生です。あ〜〜作り直しか!余分な私事を作ってしまいました。
 シャシは、サンドペーパーでサビ落としをして、更に全体にかけます。こうしないと塗料がきれいに乗ってくれません。アースが心配になりますが、以外としっかり落ちてくれるようです。ビスを締める際に剥がれて接地されるようです。


◇組み立て開始◇

スピーカーも再塗装


 スピーカーは、SANYOの4Ωで12cmです。これをアルミアングルでシャシに固定させるのです。勿論、磁石にゴムシートを貼り付けて固定します。
 外国製のラジオは、どうもスピーカーをシャシに固定してあるタイプが多いみたいな気もします。
 また、このラジオの整備にあたりスーパーOMさんから、回路図をいただきましたので大変助かりました。感謝申し上げます。
 この回路図を眺めてみるとあちらこちら変わったところが見られました。
 検波部は、DAVCとなっています。お話によりますと、ローカル局の歪みは、半固定バイアスになっていることで、この電圧配分も大きく影響している可能性があるとのこと。それと7C7は、シャープカットオフで7B7は、リモートカットオフ球であり、電波が強いところでは7C7では歪むかもしれませんと教えていただきました。
 それにもうひとつコーン紙がパリパリになったスピーカーにも原因があるかもしれません。日焼けした用箋紙みたいなコーン紙ですし・・・


◇パーツを乗せて◇

部品を乗せれば一層ワクワク感が・・・


 眺めてみれば良い感じです。いかにもラジオというスタイルです。ベコベコしたIFTの頭も綺麗になったし、いい眺め・・・
 気になっていたソケットもベークで統一出来たし、全部乗せたら配線に取りかかります。また、電源トランスも、出力トランスもリード線引出タイプだったのでどちらもハトメで端子型に改造してあります。
 こうするとアマチュアには大変配線が容易になります。さ〜て、部品を乗せれば出来たも同然!ぼちぼち配線しましょう。


<2008.05.31>

手抜き編 おしまい

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