◇SONY TC−102の展示◇


くるくるが楽しい真空管式テープレコーダー

 真空管のテープレコーダーです。とくれば古いというイメージです。この角丸の入れものがなんともレトロという雰囲気を出しています。
 メーカーは、ソニーで3球式+1Trのハイブリッドとなっていました。ハイブリッドとなるとトランジスタに世代交代するちょっと前のものだと思いますが、録音のレベル監視に小型の6E5Mというマジックアイが使われています。
 今となってはもう殆ど見かけることが無いような機械ですが、当時は個人でいろいろな録音が出来るという素晴らしい機械であったことは言うまでもないことでしょう。


レトロな入れもの

合板にクロスを貼ったケースでツートンカラー


 当時は家庭で気軽に購入出来るものではなく、小中学校の備品などとして需要があったと思います。入手したのも横にペイントで○○学校と書かれていました。残念ながらいつのものなのか分かりません。昭和30年代後半だとは思うのですが・・・
 さて、元学校備品となると使用時間も限られていますし、程度も比較的良いと思われます。となれば、録音時間は殆ど無いようなものでマジックアイは新品に近い輝きが期待できます。
 しかし、レコーダーともなれば回転部分が多いので潤滑油が蒸発して内部は薄い油膜が全体に付着しています。その為、錆も非常に少ないのです。その代わり掃除は大変です。この臭いはどうもミシン油みたいです。


◇プリー駆動部◇

沢山のローラー


 ベルトは、長年使われなかったので少し癖がついていますが、カウンター系なので支障はありませんでした。
 この沢山のローラーがクルクル回るのです。駆動はACの小型モーターが使われています。回転音が気になりますが時代物なので仕方ありません。扇風機みたいなモーターみたいな?
 メンテナンスは、内外の掃除と通電試験のみです。本来なら再生及び録音をしてバイアスやらアジマス調整をするべきですが、訳ありで出来なかったので・・・。


裏  側

真空管が見えます。


 真空管の構成を見れば、他に単連バリコンとミゼットバリコンそれに並四コイルを用意すれば、MT管の並三が作れそうです。
 それに、電源トランスに出力トランスと楕円スピーカーまで付いていて、余り使われていないはずなので球も元気なハズです。分解すれば不要部分部が多くありますが、部品取りには最適であります。ということで持っているのですが、どうもその気になれないのは何故でしょう?


モーターまわり

これが重たいのです。


 モーターも時代相応で、色と形といいレトロな感じです。後部にはファンが付いています。
 その横にある四角いものは駆動用のオイルコンデンサーです。ACモーターには必要な部品で良質なコンデンサーに見えます。NCCの1.5+0.5μFです。
 電源トランスもシールドがしっかりしてありそうで3〜4球のプリアンプの電源にも使えそうな感じもします。(古いので?ですが。)


レベル計(マジックアイ)とヘッドまわり

さすがに新品に限りなく近い輝きです。


 録音は過大入力にならないように監視するレベル計が必要です。ただし、今のカセットデッキには、オートレベルコントロール回路がついていて自動的に調整してくれます。しかし、完全なものではありません。
 調整等何かと面倒ですが、手動のレベル調整があった方が便利です。これは、マジックアイがメーターの代わりですが、一応の目安くらいにしかならなかったと思います。何度か失敗して適正レベルを決め、使いこなせるようになるのかもしれません。


◇アンプ基板裏側◇

SONYのトランジスタが見えます。


 真空管式でもアンプ部はベーク基板タイプです。マイクアンプでしょうか、Trが1個見えます。
 半固定VRは、バイアス調整用と思います。これは下手に触らない方が無難ですが、録音してから再生してみて高音がつまったような音になっていたら要調整です。ただし、ヘッドが綺麗な状態で聞いてみて判断します。シビアな調整になりますが、今回はパスです。


◇アンプ基板表側◇

出力管は6AR5


 出力管は5球スーパーでお馴染みの出力管です。ということはラジオ並みの出力があるということです。この球もきっと元気だと思います。
 見にくいのですが、その影にお皿みたいなのを被った6AU6が見えます。


◇記念撮影◇

同じものが3台しかありません。


 すべて動作品ですが、1台は蓋がありません。そしてマジックアイもありません。ここに付いていたマジックアイは、数年前にお嫁に行ったからです。
 それはそうと、今回くるくるで遊べなかったのは、どうしてかというと、空リールが出てこなかったこと・・・テープは5本ありますが、空リールが無いのでどうしようもありませんでした。
 テープを捨てれば空リールになりますが、それもちょっと考えものですし・・・


◇上  面◇

レトロなテープレコーダー


真空管式は、電源を入れてすぐに使えません。


 スピードや快適さを追求する今とは違い長閑な時代のもの、ちょっと待たなければ使えない。
 まだ、子供が小さかった頃に録音して一緒に楽しんだことがあります。このくるくる回るリールが面白いのか、子供達は回転するリールを見て喜んでいました。このレコーダーは「くるくる」と呼ばれていました。 

<2008.05.25>


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