◇白い5球スーパー◇


日本コロムビア R−542

 日本コロムビアのR-542です。パネルの格子がなかなかお洒落なデザインのラジオだと思います。最初はもっと黄ばんで薄汚れたラジオでしたが、せっかくのデザインなので、ちょっといたずらをしてみました。
 パネルはプラ製、箱は桂の木、本体中身はトランス式のMT管5球スーパーでVCは親子でした。


小柄でちょっとお洒落なラジオ

キズと汚れそして鳴らないラジオでした。


 格子は見た目に素敵ですが、埃がたまると、さあ大変ということです。なぜかというと、格子内の汚れが簡単に取れないのです。
 ここは分解、じゃぶじゃぶと水洗いをして格子枠のひとつひとつを爪楊枝で掃除するという大変な作業になりました。ダイアル文字盤は再塗装、そして文字入れをしてあります。


◇整備前のシャーシ全容◇

BC帯専用親子バリコン


 コーナカットのシャーシで、ST管ラジオをそのまま小型にしたような感じです。ただ電源トランスがシャシからちょっとはみ出すのが気に入りません。移動させようと思いましたが、VCとの間隔がなくあきらめました。
 内部は全て外してシャーシは再塗装、電源トランスも錆びていたのでこれも塗装しました。こうすることにより、ポンコツラジオもピカピカになります。勿論、キャビネットもキズ補修と再塗装です。


出力トランスは断線

ノスタルジックを狙い巻き直し


 点検をしていると出力トランスの1次側が断線しています。代用品を探せば事は足りますが、この辺は昔風にと考え出力トランスを巻き直すことにしました。トランスの巻き直しというのは大変です。コアを外して線をほどき、新たに巻くという作業になります。
 プラスチック製のコアを使えばわりと簡単ですが、この頃のものはミミが付いたボビンタイプではないので、端っこがずれてきます。1段巻くごとにパラフィンで固定しながら1次と2次を巻きました。
 以前は測定器を持たないので、同じ太さで同じ回数を巻くという手法でしたが、今は同等のもののインダクタンスを測定し同数に仕上げています。1次が足りないときは2次で調整したりして・・・。


◇整備前のシャシ裏◇

小さなシャーシに大きなL型抵抗


 個人的にトランスレスは余り好きではないので、こういったトランス式のラジオは好きです。でも、小型のせいか音は良くない。ST管の大きな箱のような独特の音を期待しても無理があるようです。ロクハンスピーカーが付いてるのに変だな〜?


◇塗装後部品を装着◇

トランスがシャシからはみ出る

どうしようもないので諦め・・


◇整備後のシャシ裏◇

今風の小型パーツに交換


 今回は珍しく新型のパーツを使いました。だって小さくて狭くて配線が大変だし、下手くそだし・・・。
 しかし、小さければ小さな部品を使った方が容易に配線できると思ったら、今度は部品が小さくて大変でした。


◇箱に入れました◇

MT管でもこの灯りはやっぱりいい・・・


 箱に入れてにんまり・・・。あれ?なんかハム音が大きい!箱に入れると低音が出るからかなと思い持ち上げると箱がウウ〜ンと唸っているではありませんか。
 しかし、箱から出してSPに耳を近づけるとさほど気にならないハム音です。本体を触るとウウ〜ンと電源トランスが震えています。電流不足か!
まさかと思い電源トランスのビスを回したら簡単にクルクル回ります。そういえば途中で組み立てるのやめてほかっておいたラジオです。ネジを締めるの忘れてた〜!


◇このラジオで悩んだところ◇

チューニングツマミの取付穴


 同調用のツマミはバリコンに直結されて減速機もありません。それもビス2本で締め付けるというものです。取り外すとき小さなドライバーでやっと外しました。
 こりゃあ取りつけるの大変だ〜。と箱の底を見れば半丸の穴がありました。ここからドライバーを差し込んでやるんだなと判りましたが、実際は暗くて懐中電灯で照らしながら締め付けました。メンテナンスは大変やりにくいラジオです。おまけに裏板も4箇所ビス止め式です。


◇オリジナルの回路図◇

だいぶ部品をケチってあるように思いますが?


 最初から付いていたケミコンは1ブロックパンクしていました。これは別物に交換しました。回路図を眺めれば、これでも受信はするというような簡素なものです。オリジナルにするのは簡単ですが、これではあまりにも・・・・。結局6AR5、6BD6のカソードにコンデンサー追加、AVC回路も100Kを経てコンデンサーでアース等、ごく標準型5球スーパーにしました。

<2006.09.28>


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