◇お気軽アンプの試作(シングルアンプ)◇


近年のオーディオ機器はデジタル化が進み小型が主流になりました。


 その昔オーディオが全盛の頃、音響機器各メーカーが競って、アンプなどオーディオ機器を販売していました。当時は、雑誌に良くステレオの広告が掲載されていました。また、キットもいろいろ売られていて子供ながらに楽しかったこと思い出します。
 さて、オーディオっていったい何だろう?と調べてみると「音響・音声に関すること。または音響再生装置」と決まり文句が出てきます。確かにそうなんですが、それだけかい?みたいな・・・。
 私も、ラジオから流れる音楽から、音に広がりのあるステレオというものに興味を抱いた一人でもありますが、俗にいう「超マニア」というものではありません。ただその日の気分にあわせて聞く音楽が好きなだけ・・・。


○子供の頃憧れたビクターの4チャンネルプリメインアンプ○

メーターがいっぱいあって面白そうです。上のはもっと昔のものです。


 手にしたのは初めてですが、このビクターのアンプは懐かしいものです。擬似空間を作り出す装置が付いているんだそうで、今の5.1chとか7.1chドルビーサラウンドの原形みたいなものなのかな?
 しばらくして、オーディオ全盛も終わりを迎えました。しかし、オーディオは無くなってしまったのではなく、今ではコンパクトな高音質・高性能が売り物のデジタルという時代になりました。これらの機器は、出力電圧も高く、接続するアンプを作るにしても比較的容易ではないでしょうか。デジタルというとソースは光り物、録音媒体はチップ、あるいは光物で、録音、編集はとても簡単になりました。また、手のひらサイズの機器もあり、持ち運びも容易です。
 ちなみに、昔ながらのオーディオ機器は、少ないながらも健在しております。勿論、退いたメーカも多いことはご承知のことと思います。


○多機能一体型パーソナルステレオとポータブル機器○

ブーストを目一杯かけた独特の刺激サウンド
慣れないと長時間は疲れます。たぶん・・・私だけかな?


 デジタルの欠点なのか、ハイエンド、ミドルエンドといわれるものは別としても、CDやMDプレーヤーのピックアップは、当たり外れがあるようで一年しか保たないものも沢山目にしております。勿論、買って数ヶ月で使えなくなった!なんて話もよく耳にします。保証期間が切れたら壊れるようになっているのでしょうか??レコード針みたいに簡単に交換できないし、困ったものであります。
 おまけにリモコンがないと編集が出来なかったりと不便な作りでもあります。
 そんな、デジタル全盛時代になんとも長閑な真空管お気軽アンプを作ってみました。これにパソコンとかデジタルのポータブル機器を接続して楽しんでも良いかもしれません。これがまたなんとも面白いんです。ピコピコが・・・。


◇なんとしてもメーターを付けるのです◇

誰にも出来るお気軽・お手軽・お手抜きの簡単な初心者向きアンプです。


 既製品のシャーシを使えばとっても簡単です。でも、ピコピコ動くメーター付けたいしー。となると奥行きの長い前傾パネルが似合うのではないか?手持ちにあるもので、あまり使いそうにもない球を使えば惜しくも何ともない?そんな見た目優先だけのいい加減な発想からです。
 その頃、たまたま球で同じくOMさんが、30MP27でお気軽アンプを作られていました。確か私もこの球を持っているわけで、これだ!と・・・。調べて見るとやっと2本出てきました。
 どうせならシャシ上は、賑やかな方が楽しいと6C4をドライバーに使って、4本乗っけようか、といろいろくだらぬことを考えるわけです。12AU7とか6AQ8の複合管を使えば簡単なのに、最終的に同じ大きさの球、ドライバーもPA管を使うことにしました。しかし、30MP27が沢山あるわけなのに見あたらないのでドライバーは30A5と決めました。この球もいっぱいあるのです。何故か・・。
 手元にある球をいろいろ眺め、出力は2Wそこそこにして、30MP27とか30MP23それに30A5のどれでも使えるように、安全圏の30A5アンプとすることにしました。この30A5は、今でも比較的入手が比較的容易です。他にヒータの配線を変えればTV管の15MPなんとかも使えると思います。


○仮組みをしてみました○

使ったのはトランスレス用の真空管


 使用した球は、トランスレス5球スーパーやコーンソール型ステレオなどに使われているヒータ電圧30Vという音声増幅管です。レス管なのでトランスレスに・・・
 そもそもトランスレス式は、私は好まないので意地でもトランス式とします。しかし、ヒーター電圧30Vという電源トランスは一般的でなく、ましてB電圧は100Vそこそこなどというのは見かけません。倍電圧用のトランスだとあるかもしれませんが、出ていてもバイアス用で電流が全く足りません。また、ヒーター用、B電源用と2個使えば特に問題はありませんが、シャシの都合上そうもいきません。


○なければ作るビンボーアマチュアの鉄則○

球は出てきませんが、手頃な大きさのトランジスター用が都合良く


 いつものパターンで、ガサゴソとジャンク箱をあさるとトランジスタ用の電源トランスが都合良く(不思議なんですけど?)出てきました。2次が30V×2と9Vの出力があります。なんアンペア取り出せるのか判らないので、30V管を4本つないで電圧降下があるか調べたところ30.5Vくらいから29.8Vに下がった程度です。うん、これは十分使えると判断、回路変更や球の変更になっても良いように、6.3V管のヒーター用も新たに巻いてあります。勿論、B電源用に100V+αも巻いてあります。
 この巻くという作業は、トランスの分解が必要です。怪我をしないように分解しましょう。慣れないと、とても危険な作業です。ついでにチョークトランスも7H分巻き上げました。あ〜しんど・・・


◇シャーシの加工◇

前側を傾斜パネルとするのです。メーターが見やすく格好が良い?


 傾斜角度は・・・忘れました。結構急勾配みたいです。最低でもメーターが内蔵出来る高さを確保し、出来るだけシャシ高を抑えるようにしました。それでも70mmと若干高めです。
 当初この傾斜パネルに小さな取っ手を付けてメカニック風にしようと考えていましたが、幅が足らず断念したところです。シャシは、ちょっと大きめの端切れがあったので、今回は(も)自作で一番簡単な木枠に曲げたアルミ板を入れただけというお粗末なものです。本来なら全てアルミで作り、後からサイドウッドとして取り付けた方が良いと思います。
 簡単な作りですが、結構丈夫みたいで机の上から落としても壊れるようです。プロ機じゃありませんので・・・。


◇木  枠◇

こんな簡単な作りなんです。手抜きといえば手抜き?


 お空の様子を伺いながらの塗装です。色を付けたりと中途半端ですが、仮組をして桟を付ける等の作業を進めます。木枠は安価で加工のし易い14tラワン材です。購入時は、反りのないものを選んで買い求めます。
 シャシを固定する桟は、木曽ヒノキ、柾目1等材を使用します。これは10mm×10mmの端切れを貰ってきて使いました。特にヒノキと拘ることはありません。
 カットした木枠は3方面分です。前側は、側板に小さな木片を取り付け、コの字型に曲げたアルミにビスもみして固定するという簡単な方法です。このコの字のアルミに入力端子を取り付けるわけです。


◇入 力 端 子◇

1ポイントアースを要するので絶縁が必要です。


 当初、パネルの配置で悩み、セレクターを付けて入力端子を増やそうと考えました。眺めてみると後部にもスペースがないのでオードソックスなメイン・アンプ風とすることにしました。メーターがなければ、いかようにでもなりますが、このピコピコはどうしても付けたいアイテムです。
 入力端子は、ここしかないみたいな感じですが、絶縁タイプは大きくてこのスペースには取り付けられません。しかし、安物の金メッキタイプは、絶縁スペーサーがありません。普通はベーク版に付けて固定するのですが、ビスを見せたくないということがあります。
 また、ここでガサゴソとジャンク箱をあさると薄手の平型ゴムスペーサーが何故か都合良く出てきます。まったく不思議なジャンク箱であります。??


◇完成!・・・のつもり◇

モニターに使ったオーディオテクニカと記念撮影


◇斜め横から◇

どうせ作るなら見た目にも春夏冬あんぷ!(秋無い?)


 回路は頭の中に描いたのみ。シングルだし回路を追っても知れています。とりあえず片chでいろいろ実験しながら進めました。思いつき回路とでも?まだ、多少なり手を加え遊んでみるつもりです。
 モニターは、能率の悪い小型の2wayスピーカーです。といってもユニット等を入れ替えてチューンしたつもり?の箱です。
 スピーカーにかなり依存しますが、聞いてみると想像以上に厚みがあり、更に透明感があるような感じです。構成はドライバー、PAともに5結で、PAにK-NFBを掛けてあります。こんな小さなSPで、まぁ−?みたいです。
 OMさんの言われるとおりPA管って厚みのある音がするんですね。期待以上だったので、ちょっと満足です。今まで、純PA管をドライバーに使った経験もなくこんな感じで試行錯誤の上、定数を決めました。手探りアンプとでも?
 ソースは、身近なポータブル機でしたが、こんなのでもやっぱりデジタルでしょうか、お遊びには十分でした。ただ、パワーを稼げなかったのが残念ですが、使える球がいろいろあるから良いことにしておきます。お気軽ampだし・・・。


◇メーターの裏◇

バックライト付のメーターです。ヘ゛ーシ゛ュ色の長丸はTEACのコンデンサー


 最後になりますが、訳の分からないオーディオという言葉。専門誌によれば、回路がどうの特性がどうの云々。いろいろな事が書かれています。
 これは、これで必要なことかも知れませんが、理論や評価に惑わされたりしないことが大切でないかとはないと思います。私なりにオーディオというのを言わせてもらえば、人がなんと言おうが、自分の好みに合う音を作り出して音楽を楽しめればそれで十分だと思います。
 「聞いて見て操作して楽しむ」そして「作って楽しむ」それで十分ではないでしょうか。また、音作りというのは芸術でもありますが「家族や近所に迷惑をかけないこと」これはオーディオを楽しむためのマナーであります。なんたって「音学」ではなくて「音が楽しい音楽!」「音が苦」になってはいけないのです。きっと・・・・。


◇お気軽の定番!ワンタッチ端子◇

お手軽なのに贅沢なメタルコネクター


 給電には、3Pのメタルコネクターを使用しました。これは、OMさんが手配して下さいました。お気軽アンプなのに・・・。ここが一番贅沢だったかもしれません。ありがとうございました。感謝です。


<2007.05.12>


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